本記事は、前回の記事
【愛知県】一般酒類小売業免許|近くに酒屋があると不許可?需給調整要件を解説
の続きとなります。
前回は、一般酒類小売業免許の申請要件4つのうち、**「需給調整要件」**について解説しました。
今回は、最後の要件である**「経営基礎要件」**について解説していきます。
経営基礎要件とは
経営基礎要件とは、
名称からもある程度想像できるかもしれませんが、
「この人(この会社)が、酒類販売を継続的に行っていける経営基盤を持っているか」
を確認するための要件です。
根拠条文は酒税法第10条第10号に規定されており、
審査では主に次の3つのポイントが見られます。
なお、愛知県(特に名古屋エリア)では、
EC販売や飲食店併設など多様なビジネス形態が多いため、
「実際に事業として成立するか」
という実務的な観点でチェックされる傾向があります。
①資金面(お金の基礎体力)
まず確認されるのが、資金面です。
具体的には、次のような点がチェックされます。
・開業資金が確保されているか
・当面の運転資金が十分にあるか
・借入が過剰な状態になっていないか
ここでの重要なポイントは、「儲かるかどうか」ではないという点です。
審査では、「すぐに資金繰りが厳しくならないか」という視点で見られています。
特に名古屋でよくあるケースとして、初期投資(内装・EC構築など)に資金を使い切ってしまい、
仕入資金や運転資金の裏付けが弱いと判断されるケースがあります。
単に残高があるだけでなく、「どのように資金を回していくか」まで整理しておくことが重要です。
②事業の継続性
次に、事業として本当に継続する意思と実態があるかが確認されます。
チェックされる主なポイントは以下のとおりです。
・事業計画が一応成立しているか
・免許だけ取得して放置する予定ではないか
・実態のある事業内容になっているか
この確認の中で、特に見られるのが、
・仕入先
・販売方法
・想定顧客
といった具体的な事業内容です。
要するに、「本当に酒類を販売するつもりがあるのか?」という点が見られています。
愛知県では、
例えば
・飲食店+物販
・EC販売中心
・業務用販売
といった複合的な事業も多いため、「話として成立しているか」ではなく
「実際に回る設計になっているか」がより重視されます。
③税務・法令面の信用
最後は、税務・法令面での信用です。
ここはかなり現実的なチェックが行われます。
・過去に重大な税金滞納がないか
・酒税法や税法違反を繰り返していないか
・反社会的勢力との関係がないか
特に次のようなケースは、
経営基礎がないと判断される可能性が高くなります。
・税金を繰り返し滞納している
・差し押さえを受けた履歴がある
このような場合、
経営基礎要件を満たさないと判断されることが多いため注意が必要です。
経営基礎要件で注意するポイント
ここまで経営基礎要件のチェックポイントについて解説してきましたが、
やや抽象的で分かりにくいと感じた方も多いかもしれません。
ここからは、経営基礎要件の具体的な「個別判定基準」
について解説します。
これらに該当する場合、経営基礎がないと判断されやすく、
愛知県の審査でも実務上大きなマイナス要素となるため、
事前に理解しておくことが重要です。
経営基礎要件の判定基準
① 繰越損失が資本金等の額を上回っている場合
最終事業年度の貸借対照表において、繰越損失が資本金等の額を上回っている場合です。
ここで注意すべきポイントは、「資本金」ではなく「資本金等の額」(注)が基準になっている点です。
また、この基準は個人事業主にも同様に適用されます。
なお、新規開業の場合は、そもそも決算書が存在しないため、この要件は問題になりません。
(注)資本金等の額とは、資本金・資本剰余金・利益剰余金の合計から
繰越利益剰余金を控除した金額をいい、いわゆる債務超過の状態を指します。
② 3期連続で資本金等の20%超の欠損がある場合
最終事業年度以前の3事業年度すべてにおいて、資本金等の額の20%を超える欠損が生じている場合です。
赤字=即アウトではありません
ここで強調しておきたいポイントがあります。
それは、赤字=即不許可ではないということです。
整理すると、
・単年度の赤字 → OK
・開業初期の赤字 → OK
・合理的に説明できる赤字 → OK
問題となるのは、繰越損失が積み上がり、元手を食い潰している状態です。
このような場合、①②に該当する可能性が高くなり、
許可のハードルは確実に上がります。
ただし、①②に該当した場合でも、必ず不許可になるわけではありません。
とはいえ、強いマイナス要素になるのは事実です。
そのため、なぜ①②に該当するのかという合理的かつ具体的な説明が求められます。
よくある誤解
ここからは実務上、申請者からの質問が多いポイントについて解説します。
❌「売上規模が小さいとダメ?」
→ 関係ありません。
小規模な事業であっても、
・事業としての継続性がある
・実態のある営業内容になっている
これらが確認できれば、規模の大小は問われません。
実際にも、小規模なEC販売や副業レベルから許可を取得しているケースは多くあります。
❌「事業計画は立派じゃないとダメ?」
→ 見栄えより中身です。
テンプレート的に作り込まれた計画よりも、
・現実的であること
・自分の事業内容に合っていること
こうした点が重視されます。
数値や内容に無理があると、かえってマイナス評価になることもあります。
まとめ
酒類販売業免許の申請では、
特に経営基礎要件で悩まれる方が多い印象があります。
それは、経営基礎要件が
「絶対的な不許可要件」ではなく経営基礎があるかどうかを判断するための基準であるため、
書類の作り方や説明内容によって、結果が大きく変わるからです。
特に愛知県(名古屋エリア)では、事業の実態や資金の流れなど、
実務的な整合性がより重視される傾向があります。
そのため、「要件に当てはまるか」ではなく「どう説明するか」が許可の可否を左右します。
経営基礎要件についての書類作成や税務署への説明に不安がある場合は、
酒類販売業免許を専門とする行政書士に事前に相談することで、
不要なリスクを回避でき、開業準備をスムーズに進めることができます。
次回の記事では、本記事で解説しきれなかった残りの経営基礎要件について解説します。
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