本記事では、前回解説した「次葉4」に続き、酒類販売業免許の申請書類の一つである
**「次葉5(所要資金の額及び調達方法)」の書き方や記入例**について詳しく解説します。
あわせて、実務上つまずきやすいポイントについても分かりやすく整理しています。
なお、**次葉4(収支見込み)**について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
「三重県|通信販売酒類小売業免許「次葉4」の書き方と記入例」
※本記事は三重県での通信販売酒類小売業免許申請を前提に作成していますが、記載方法自体は全国共通のため、
他の地域で申請予定の方も参考になります。
次葉5とは何か
次葉5とは、酒類販売業免許の申請において、事業に必要な資金の総額と、その調達方法を示す書類です。
具体的には、開業や事業運営にどれだけの資金が必要なのか、そしてその資金を自己資金・借入・援助などによって
どのように準備するのかを記載します。
この書類は単なる形式的なものではなく、
申請者に継続的に事業を行うだけの資金力があるかを判断するための重要な資料です。
そのため、記載する金額や内訳は、
他の申請書類(収支計画や設備内容など)と整合性が取れていることが求められます。
通信販売酒類小売業免許の場合は、店舗販売とは異なり、次のような費用が発生する点に注意が必要です。
- ECサイトの構築費用(自社サイト・モール出店費用など)
- 配送関連費用(梱包資材・送料・配送契約)
- 在庫保管費用(倉庫・保管スペース)
- 決済手数料(クレジットカード・各種決済サービス)
これらの費用は、通信販売を前提とした事業では必須となるため、
資金計画に反映されていない場合、実態と合わない計画と判断される可能性があります。
特に、「設備は簡素だから資金は少なくてよい」と考えてしまうケースがありますが、
通信販売ではシステム・物流・在庫といった見えにくいコストが発生するため、
むしろ資金計画の現実性が厳しく見られる傾向があります。
そのため、通信販売で申請する場合は、
販売方法に応じた費用構成になっているかを意識して記載することが重要です。
次葉5の記入例
以下の次葉5の記入例は、架空の通信販売の拠点を基に作成しています。
数値は一例であり、実際の事業規模に応じて調整が必要です。

上記次葉5の画像➀~⑧については、下記の表で詳しくまとめています。
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| ① 年間仕入額 | 次葉4の収支見積に記載した年間仕入額をそのまま転記します。 |
| ② 月間仕入額 | 年間仕入額を12で割り、1か月あたりの仕入額を算出します。 |
| ③ 在庫 | 月間仕入額の1/2を目安として計算します。在庫を持たない場合はその旨を記載します。 |
| ④ 初月の必要資金 | 月間仕入額と在庫額を合計して算出します。 |
| ⑤ 設備費 | 冷蔵設備など酒類販売に必要な設備がある場合は、その内容と金額を記載します。不要な場合はその旨を記載します。 |
| ⑥ 予備費 | 突発的な支出に備えた金額を記載します。 |
| ⑦ 所有資金 | 預金や現金など、事業に充てる自己資金の内容と金額を記載します。証明資料の添付が必要です。 |
| ⑧ 資金調達・補足 | 自己資金で不足する場合は借入金を記載します。融資を受ける場合は証明書の提出が必要です。 |
次葉5でよくあるミス
次葉5は一見シンプルな書類に見えますが、実務上は数値の整合性や資金の裏付けが重視されるため、
記載内容によっては補正や追加説明を求められるケースも少なくありません。
特に通信販売の場合は、「設備が少ない=資金が少なくてよい」と誤解されやすく、
資金計画が実態とズレるケースが多く見られます。
ここでは、実際によく見られるミスを解説します。
① 他の書類と数字が合っていない
次葉5の数値は、次葉4の収支見積や次葉3の設備内容と連動しています。
例えば、収支見積の仕入額と次葉5の年間仕入額が一致していない場合、
整合性が取れていないとして指摘される可能性があります。
また通信販売では、配送費や決済手数料などを収支見積に入れているにもかかわらず、
次葉5の資金計画に反映されていないケースもよく見られます。そのため、必ず他の書類と数字を揃え、
費用項目の抜け漏れがないかを確認することが重要です。
② 所要資金と調達資金のバランスが崩れている
所要資金よりも調達資金が少ない場合、
当然ながら事業を開始できないと判断されます。
また、借入に大きく依存している場合も、資金計画の実現性について慎重に確認されることがあります。
通信販売の場合、在庫・広告費・物流コストなどが先行して発生するため、
初期段階で資金不足に陥るリスクも見られやすいポイントです。
そのため、「必要資金 ≤ 調達資金」の関係を満たすだけでなく、
運転資金も含めた余裕のある資金構成にしておくことが重要です。
③ 自己資金の裏付けがない
自己資金を記載していても、通帳の写しなどの証明資料がない場合は認められません。
特に、直前に入金された資金については、その出所を確認されるケースもあります。
通信販売での申請も、小売販売の場合と同様に資金の根拠については、
具体的に説明できる状態にしておくことが重要です。
④ 設備費や予備費の記載が曖昧
「設備費一式」など、内容が不明確な記載は避けるべきです。
通信販売の場合は特に、
- ECサイト構築費
- モール出店費用
- 梱包資材・配送関連費用
- 倉庫・保管費用
といった内訳を具体的に分けて記載することが求められます。
また、予備費をまったく計上していない場合も、資金計画として不十分と判断される可能性があります。
できるだけ具体的かつ現実的な金額で記載しましょう。
⑤ 計算根拠が不明確
在庫をどのように算出したのか、なぜその金額になるのかが説明できないケースもよく見られます。
通信販売では特に、
- 在庫回転率
- 保有在庫日数
- 月間販売数量
などを前提として、資金を算出する必要があります。
「月1回転」「在庫は半月分」など、計算の前提を明確にしておくことが重要です。
次葉5は単なる計算書ではなく、事業の実現性を判断するための重要な資料です。
形式的に記入するのではなく、通信販売という販売形態に即した、現実的な資金計画を作成することが求められます。
まとめ
本記事では、次葉5(所要資金の額及び調達方法)について解説しました。
次葉5は、次葉4の収支の見込みとあわせて、酒類販売事業の実現性を数値で示す重要な書類です。
特に通信販売の場合は、ECサイト運営費・配送費・在庫保有といった費用が発生するため、
見えにくいコストを含めた資金計画になっているかが重要なポイントとなります。
ポイントを一言でまとめると、「数字に根拠があるか」と「その内容を正確に説明できるか」が、
審査上の重要な判断基準となります。
一見すると難しく感じるかもしれませんが、事業計画の内容が整理されていれば、
あとはそれを数値として落とし込む作業に過ぎません。
一方で、通信販売は費用構造が複雑になりやすく、
文章や数字に落とし込むことが難しいと感じる方も一定数います。
そのような場合は、酒類販売免許の申請に詳しい行政書士に相談することで、
実態に即した資金計画の作成や、審査を見据えた書類作成を進めることができます。
次回の記事では、次葉6(酒類の販売管理の方法に関する取組計画書)について解説します。
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