本記事では、通信販売酒類小売業免許における需給調整要件の一つである「酒類の数量制限(3,000キロリットル基準)」について、要点を押さえてわかりやすく解説します。
※通信販売酒類小売業免許について、詳しく知りたい方は、こちらの記事「酒類販売免許はどういう時に必要?」を参照してください。
通信販売酒類小売業免許の数量制限とは
通信販売酒類小売業免許には、「3,000キロリットル基準」と呼ばれる数量制限があります。
これを見て、
「年間3,000キロリットルまでしか販売できないの?」
と誤解される方が非常に多いのですが、これは正確ではありません。
この3,000キロリットル基準は、
- 年間販売上限ではない
- 申請者の売上制限ではない
- メーカー側の製造数量基準である
という点が重要です。
つまり、酒類販売業者ではなく、酒類製造業者に関係する基準なのです。
それでは、もう少し具体的に見ていきましょう。
数量制限の判断基準とは?
数量制限の要件は、次のように整理できます。
① 輸入酒類
→ 品目や数量の制限はありません。
② 国産酒類
→ カタログ等の発行日の属する会計年度の前会計年度における酒類の品目ごとの課税移出数量が、すべて3,000キロリットル未満である酒類製造業者(以下「特定製造者」)が製造・販売する酒類
①の輸入酒類には制限がありませんが、②の国産酒類については、専門用語も多く、非常に分かりづらい内容となっています。
そこで、まずは「課税移出数量」という言葉の意味から確認していきます。
課税移出数量とは?
分かりやすく言うと、「酒造メーカーが税金を払うタイミングで出荷したお酒の量」のことです。
例えばある酒造メーカーが、
・2024年度に
・自社の製造場から
・2,500kl出荷した
とします。
このような場合、この2500klがその年度の課税移出数量となります。
したがって、条文を整理すると、
カタログ等(チラシ・雑誌・新聞・インターネット広告など)の発行年度の前年度における課税移出数量が3,000kl未満である国産酒メーカーの商品であれば、通信販売で取り扱うことが可能
ということになります。
・なぜこのような制限があるのか?
この数量制限は、小規模な酒類製造業者が通信販売によって販路を拡大できるようにするために設けられたものです。
制度設計上、小規模事業者保護政策の一環として位置づけられています。
よくある誤解
ここからは、実務上よくある誤解について整理します。
❌ 誤解①:自分の売上が3,000klを超えたら違反になる
→判断基準はあくまで「酒類製造業者」側の課税移出数量です。酒類販売業者の売上とは関係ありません。
❌ 誤解②:仕入れ数量の上限が3,000klである
→仕入量の制限ではありません。
メーカーごとの規模(課税移出数量)で判断されます。
例えば、A社・B社ともに3,000kl未満であれば、両社から合計3,000klを超えて仕入れても問題はありません。
❌ 誤解③:3,000klを超えたら免許取消になる
→そのメーカーの商品を取り扱えなくなる可能性があるだけであり、自身の免許が直ちに取り消されるわけではありません。
❌ 誤解⑤:国産酒すべてが対象
→正しくは、国産酒のうち「3,000kl未満の製造者が製造する酒」のみが対象です。
そのため、大手ビールメーカーの商品などは対象外となります。
※具体例で整理
| 酒の種類 | 通販免許で扱える? |
|---|---|
| 地元の小さな酒蔵の日本酒 | ✅ 可能 |
| クラフトビール(小規模) | ✅ 可能 |
| キリン一番搾り | ❌ 不可 |
| アサヒスーパードライ | ❌ 不可 |
| フランス産ワイン | ✅ 可能 |
まとめ
本記事では通信販売酒類小売業免許の数量制限について解説しました。
一般酒類小売業免許とは異なり、通信販売酒類小売業免許では、実際の申請において「どの酒類が対象となるか」の判断が非常に重要になります。
申請時には税務署の審査対象として厳しく確認されるため、取扱予定商品の適否について不安がある場合は、事前に酒類販売業免許を専門としている行政書士に相談されることをおすすめします。
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