海外に移住し、外国籍を取得した元日本人の方が、再び日本で長期的に生活することを希望するケースがあります。
その際、注意しなければならないのが、過去の日本への出入国歴です。
例えば、外国籍を取得して日本国籍を喪失したにもかかわらず、国籍喪失届を提出せず、有効期限の残っている日本のパスポートを使って出入国を繰り返していたケースです。
このような場合、過去の出入国歴がビザの審査に影響してくるケースが多いです。
今回は、日本国籍喪失後に日本のパスポートを使用していた場合、在留資格の申請にどのような影響があるのか、また、申請にあたってどのような準備が必要になるのかについて解説します。
※ビザ申請のことを日本では「在留資格申請」と言いますが、この記事では分かりやすくビザ申請と表現していきます。
外国籍を取得すると日本国籍はどうなる?
日本の国籍法第11条第1項では、日本国民が自らの意思で外国籍を取得した場合、日本国籍を喪失すると定められています。
例えば、日本人が海外に移住し、その国に帰化して外国籍を取得した場合、原則として、その時点で日本国籍を失います。
ここで注意したいのが、国籍喪失届を提出していなくても、日本国籍は法律上すでに失われているという点です。
国籍喪失届は、日本国籍を失うための手続ではなく、すでに発生した国籍喪失の事実を届け出るための手続です。
そのため、届出をしていないことによって、日本国籍が維持されるわけではありません。
日本国籍を失うと日本のパスポートも失効する
日本国籍を喪失した場合、それまで使用していた日本のパスポートも失効します。
これは旅券法第18条第1項第1号に基づくもので、パスポートに記載されている有効期限が残っていても同様です。
しかし、国籍喪失届が提出されていない場合、行政機関が国籍喪失の事実を把握しておらず、戸籍などの行政記録に反映されていないことがあります。
その結果、法律上はすでに失効している日本のパスポートを使用して、日本への出入国を繰り返していたというケースが生じることがあります。
では、このような方が、外国籍を持つ元日本人として日本で長期滞在するためにビザを申請する場合、どのような問題が生じるのでしょうか。
過去に日本のパスポートを使用していた場合、ビザ申請は不許可になる?
結論から言うと、日本国籍喪失後に日本のパスポートを使用していたからといって、ビザの申請が必ず不許可になるわけではありません。
実際に、国籍喪失後に日本のパスポートを使用して出入国を繰り返していた方が、その後、ビザの許可を受けたケースもあります。
ただし、これは同様のケースであれば必ず許可されるという意味ではありません。
過去の出入国の回数や時期、国籍喪失に至った経緯、パスポートを使用していた事情など、個別の状況によって審査上の評価は異なります。
また、このようなケースについて、何回までの出入国であれば許可されるといった、一律の明確な許可基準が公表されているわけではありません。
そのため、最終的には個別の事情や提出資料などを踏まえ、出入国在留管理庁によって審査されることになります。
ビザ申請では過去の経緯を正確に説明することが重要
このようなケースで最も重要なのが、過去の出入国歴や国籍喪失後の経緯について、事実を正確に申告することです。
過去に失効した日本のパスポートを使用していた事実がある場合、その事実を隠したり、実際とは異なる内容を申告したりすることは避けなければなりません。
そのうえで、外国籍を取得した時期、日本のパスポートを使用していた期間や回数、当時の状況などを整理し、必要に応じて詳しい説明資料を作成することが重要になります。
特に、通常のビザ申請とは異なる事情がある場合には、申請書に記載された情報だけでは、その背景を十分に説明できません。
そのため、過去の経緯を時系列で整理した説明書や、事情を裏付ける資料などを自主的に提出することを検討していくことになります。
入管が案内する必要書類だけでは足りない場合がある
ビザの申請では、出入国在留管理庁のホームページに必要書類が案内されています。
しかし、今回のように過去の出入国歴に特殊な事情がある場合、ホームページに掲載されている必要書類だけでは、十分な説明ができません。
例えば、次のような資料です。
- 外国籍を取得した時期が分かる資料
- 日本国籍喪失後の出入国歴を整理した資料
- 日本のパスポートを使用していた経緯についての説明書
- その他、個別の事情を裏付ける資料
これらは、必ずしも入管から提出を指示されるものではありません。
申請者の事情に応じて、どのような資料が必要なのかを自ら判断し、準備して提出することが重要になります。
特に、審査に影響する可能性がある事情については、入管から追加資料の提出を求められるまで待つのではなく、申請段階から丁寧に説明することが大切です。
過去の出入国歴が分からない場合は開示請求を検討する
日本国籍喪失後に何度も日本へ出入国していた場合、過去の出入国日や回数を正確に覚えていないこともあります。
しかし、ビザの申請では、過去の出入国歴を正確に把握することが重要です。
記憶だけを頼りに曖昧な情報を記載してしまうと、実際の記録と食い違いが生じる可能性があります。
そのような場合には、出入国在留管理庁に対して、過去の出入(帰)国記録の開示請求を行う方法があります。
開示請求によって取得した記録を確認することで、過去の出入国日や回数を整理し、申請に必要な説明資料の作成に役立てることができます。
特に今回のようなケースでは、通常の外国人としての出入国歴だけでなく、日本人として出帰国していた期間の記録も確認することが重要になります。
そのため、ビザの申請に入る前に、必要な記録を取得して事実関係を整理しておくことが望ましいでしょう。
元日本人のビザ申請は事前準備が重要
元日本人の方が再び日本で長期滞在する場合、個別の事情によっては「日本人の配偶者等」などのビザが該当することがあります。
※「日本人の配偶者等」ビザについての詳しい解説はこちらの記事を参照してください。
ただし、日本人として出生した方であっても、すべての元日本人が必ずこのビザに該当するわけではありません。
また、ビザの要件を満たしている場合であっても、過去の出入国歴に問題となり得る事情があれば、その点について別途説明が必要になることがあります。
今回のように、日本国籍喪失後も日本のパスポートを使用していたケースでは、通常のビザ申請と比べて、事前に確認すべき事項や準備する資料が多くなる傾向があります。
特に重要なのは、過去の経緯を正確に把握し、必要な説明資料を適切に準備することです。
そのため、ご自身だけで申請を進めることに不安がある場合には、ビザ申請を専門とする行政書士などに相談することも一つの方法です。
元日本人の在留資格申請は当事務所へご相談ください
なべ行政書士事務所は、三重県四日市市にある、ビザ申請を専門とする行政書士事務所です。
日本国籍を喪失し、外国籍となった後、再び日本での生活を検討されている方や、過去の出入国歴について不安をお持ちの方は、ぜひ当事務所までご相談ください。
【なべ行政書士事務所】
三重県四日市市天カ須賀5丁目1番17-7号
TEL : 080-6865-3422
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