飲食店で外国人を店長採用!1店舗だけの店長ではビザが難しい?実務上の考え方を解説

目次

飲食店で外国人を店長として採用する場合に知っておきたい実務上のポイント

飲食店で外国人を正社員として採用する場合、代表的な在留資格(ビザ)として「特定技能1号」と「技術・人文知識・国際業務」があります。
※特定技能について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。

特定技能1号は、調理や接客など店舗での現場業務に従事することを前提とした在留資格です。そのため、店舗スタッフや店長として現場で働くことも可能です。
(2026年7月現在外食での特定技能1号の受入れは人数上限に達したため、新規での申請を停止しています。)

一方、「技術・人文知識・国際業務」は、現場での調理や接客を目的とした在留資格ではなく、店舗運営や企画、管理業務など、専門的な知識を活かした業務に従事することを前提としています。

では、飲食店における「1店舗の店長」という立場は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でも認められるのでしょうか。

この点については、実務上も判断が難しいテーマの一つです。

実際、東京入管が公表している更新不許可事例では、「単一店舗の店長」に関する事例が紹介されている一方で、別の許可事例では、コンビニエンスストアで店長となるキャリアプランが認められた事例も公表されています。

そこで今回は、これらの公表事例を比較しながら、「1店舗の店長」は本当に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では難しいのか、私なりの考えも交えながら実務上のポイントを解説します。

東京入管が公表した更新不許可事例

東京入管が公表している更新不許可事例では、外国人本人は当初、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で来日し、在留資格認定証明書交付申請の段階で許可を受けていました。

認定申請時に会社が提出したキャリアプランでは、将来的に本社勤務や海外事業を担当する部署への配置が予定されていることが説明されていました。

しかし、実際には約5年間にわたり単一店舗の店長として勤務を継続していました。

その後、在留期間更新許可申請を行った結果、不許可となっています。

下記は実際に不許可となった理由が記載された東京入管からの公表資料です。

不許可理由として実際に示されている内容は、次の2点でした。

  • 前回提出されたキャリアプランと、現在の職務内容との間に乖離が認められること
  • 入社後5年を経過しているものの、現在も単一店舗の店長にとどまっていること

さらに、公表資料では、不許可判断の決定的な要因は②であることも記載されています。

一方で、許可事例では1店舗の店長が認められている

一方、東京入管が公表している別の許可事例では、コンビニエンスストアにおいて、

  • 店長補佐として採用
  • OJTや本部研修を受講
  • 約1年後に店長へ就任
  • マーケティングや店舗運営・管理業務に従事

というキャリアプランで許可された事例が紹介されています。

この事例を見る限り、「1店舗の店長だから直ちに技術・人文知識・国際業務に該当しない」という趣旨であるとは読み取れません。

※参考資料:出入国在留管理庁『「技術・人文知識・国際業務」在留資格 更新不許可事例・許可事例集』

私がこの2つの事例を比較して感じたこと

私自身、この不許可事例を初めて読んだときは、「単一店舗の店長では、『技術・人文知識・国際業務』の在留資格は難しいのではないか」と考えていました。

しかし、その後、コンビニエンスストアの許可事例も確認し、改めて両方の事例を読み比べてみると、現在では少し違った見方をしています。

私が特に注目したのは、不許可理由として挙げられていた「キャリアプランとの乖離」です。

東京入管は、在留資格認定申請や前回更新時に提出されたキャリアプランでは、本社勤務や海外事業を担当する部署への配置予定であったにもかかわらず、実際には現在も店舗勤務を継続している点を指摘しています。

つまり、この事例では単に「単一店舗の店長」であったことだけではなく、会社が申請時に説明したキャリアプランと、実際の勤務状況との間に大きな乖離が生じていたことが問題となった可能性も考えられます。

もちろん、不許可理由には「入社後5年を経過しても単一店舗の店長にとどまっていること」が決定的要因であると記載されています。

しかし、ここで一点疑問に感じることがあります。それは、会社の人材育成や昇進制度は、本来、その会社自身が決定する事項だということです。

将来の事業計画は、会社の経営状況や社会情勢など様々な要因によって変更を余儀なくされることがあります。そのため、当初提出したキャリアプランどおりに人事配置が進まなかったという事実だけで、直ちに不許可となるものではないと私は考えています。

もっとも、公表資料からは、更新申請時に会社がどのような説明を行ったのかまでは読み取ることができません。当初の計画から変更が生じていたのであれば、その経緯や理由、現在の業務内容が在留資格に適合することについて、更新申請時に十分な説明を行うことが実務上重要なのではないかと考えています。

そのため私は、「5年間勤務したから複数店舗を管理すべき」という一般論を示したものというよりも、会社自身が申請時に説明したキャリアプランと、その後の勤務実態との整合性を重視した判断であった可能性が高いと考えています。

このように考えると、この不許可事例は「単一店舗の店長」という立場だけを理由に不許可としたものではなく、申請時の説明内容やその後の勤務実態を含めて総合的に判断された事例と理解することができます。

そう考えれば、コンビニエンスストアの許可事例とも矛盾なく理解することができます。

もちろん、これは私自身が公表事例を比較して感じた一つの考察であり、すべての案件に当てはまるものではありません。

キャリアプランは「許可を取るための飾り」ではない

この不許可事例で特に注意すべきなのは、当初の認定申請では在留資格の許可を受けていたという点です。

つまり、認定申請の段階では、会社が提出した業務内容やキャリアプランが一定程度評価され、その内容を前提として在留資格が認められたと考えられます。

しかし、更新申請では、その当初提出したキャリアプランと実際の勤務実態との間に乖離が生じていたことが問題となりました。

ここから分かるのは、キャリアプランは単に「許可を取得するために見栄えよく作成する書類」ではないということです。

実際には今後も店舗勤務が中心となる予定であるにもかかわらず、許可を得やすくするために「将来的には本社勤務」「海外事業を担当」といった内容を強調しすぎると、更新時にその説明が自分たちの首を絞める可能性があります。

もちろん、将来の人事配置には不確定な要素があります。

会社の経営状況や店舗展開、本人の適性などによって、当初のキャリアプランどおりに進まないことも十分考えられるでしょう。

しかし、そのような場合でも、なぜ当初の計画から変更が生じたのか、現在の業務内容が在留資格の活動内容とどのように整合しているのかを、更新時に説明できるようにしておくことが重要です。

認定申請や更新申請で作成するキャリアプランは、その場限りの書類ではありません。

将来の更新審査にも影響を及ぼす可能性がある重要な資料だからこそ、実際の人事運用と整合する、現実的な内容で作成することが大切だと私は考えています。

実務上、キャリアプランとの整合性は重要ではないか

今回紹介した2つの事例を比較すると、実務上重要なのは、「店長」という肩書だけではなく、会社が申請時にどのようなキャリアプランを示し、その内容と実際の勤務状況が整合しているかという点ではないでしょうか。

もちろん、この一事例だけで一般化することはできません。

在留資格の審査では、

  • 会社の規模
  • 実際の業務内容
  • 管理権限
  • 責任範囲
  • 勤務実態

などを総合的に判断して行われます。

そのため、「1店舗の店長だから必ず許可される」「1店舗の店長だから必ず不許可になる」と断定することはできません。

しかし、公表事例を比較すると、申請時に提出したキャリアプランと、その後の勤務実態との整合性は、実務上十分意識しておくべきポイントの一つであると私は考えています。

飲食店で外国人店長を採用する場合の選択肢

飲食店で外国人に店舗で働いてもらう場合は、採用目的に応じて適切な在留資格を選択することが重要です。

店舗での調理や接客など現場業務を中心に担当するのであれば、特定技能1号や、2027年4月から開始予定の育成就労制度も選択肢となります。
※参考記事:育成就労制度とは?運用要領を読んで感じた実務上のポイントも解説

一方、「技術・人文知識・国際業務」で採用する場合には、店舗運営や管理業務の内容だけでなく、申請時に説明するキャリアプランや、その後の勤務実態との整合性についても十分検討した上で申請することが重要でしょう。

飲食店での外国人の採用について検討されている方は、在留資格を専門とした行政書士に相談することで、認定申請時のキャリアプランの作成や、更新時を見据えた人事運用についても事前に検討することができます。

ご自身での申請に少しでも不安を感じる方は、一度専門家に相談されることをお勧めします。


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三重県四日市市天カ須賀5丁目1番17-7号
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