就職が決まっていたにもかかわらず、就職できなかった理由
留学生として来日し、日本語学校を卒業した後、日本企業への就職が決まっていました。雇用契約書や内定通知書も交わされ、あとは在留資格変更許可申請の結果を待つだけという状況でした。
ところが、在留資格変更許可申請の審査が長期化している間に、会社側は別の人材を採用し、結果として就職には至りませんでした。
その後、依頼者は永住者と結婚し、「永住者の配偶者等」への在留資格変更許可申請を行いました。しかし、入管から追加資料として求められたのは、意外にも「なぜ就職しなかったのか」を説明する資料でした。
これは、私が実際に受任した相談事例をもとにしたケースです。
配偶者ビザでも就職経緯の説明を求められることがある
配偶者ビザの申請では、婚姻の真実性や生計維持能力に注目が集まりがちです。しかし実際には、それまでの在留経過や就職予定が変更された経緯について説明を求められることもあります。
今回のケースでは、内定通知書や雇用契約書は保管されていたものの、会社から正式な「内定取消通知書」は発行されていませんでした。そのため、当時の経緯を整理し、なぜ就職に至らなかったのかを客観的に説明する必要がありました。
このようなケースでは、入管から会社が発行した内定取消通知書の提出を求められることがあります。
しかし、本件では会社側が内定取消通知書の発行に難色を示していました。
その理由は、「内定取消しは会社都合なのか、それとも本人による辞退なのか」という点について、会社側と依頼者側の認識に食い違いがあったためです。
会社側としては、会社都合による内定取消しと認めることは、労働契約法上の問題に発展する可能性もあるため、そのような内容の書類を発行することに慎重になっていました。
理由書だけでは不十分になる場合もある
一般的に、入管から求められた書類を提出できない場合には、その理由や事情を説明した理由書を添付し、不足書類の代替資料とすることになります。
しかし、理由書は申請者自身が作成する主観的な資料にすぎず、客観的な証拠としての信用性は限定的です。そのため、審査が長引いたり、場合によっては審査に不利に働く可能性もあります。
そこで私は、最も許可の可能性が高い方法として、会社が発行する説明書類を提出できないか検討しました。
まず、依頼者と会社双方から丁寧に事情を聞き取り、それぞれの認識を整理したところ、双方の説明には表現の違いはあるものの、事実関係そのものに大きな相違はなく、認識の違いによるものだと判断しました。
また、その認識の違いは、今回の在留資格審査において本質的な争点にはならないと判断しました。
そこで会社側に対して、入管が確認したいポイントを分かりやすく説明したうえで、事実関係を客観的に記載した説明書類の作成をお願いしました。その結果、会社側の協力を得て説明書類を提出することができ、無事に「永住者の配偶者等」への在留資格変更許可を受けることができました。
まとめ|ビザ申請では関係者との調整も重要な業務
このように、労働契約に関する問題は、外国人の在留資格申請にも少なからず影響を及ぼします。
特に、在留資格変更許可申請や更新申請では、雇用関係のトラブルや経緯について説明を求められることも珍しくありません。
ビザ申請を専門とする行政書士の役割は、単に申請書類を作成・提出することではありません。
依頼者が抱える問題点を整理し、関係者との調整を行いながら、入管に対して最も適切な形で説明できるようサポートすることも、専門家として重要な役割であると私は考えています。
【なべ行政書士事務所】
三重県四日市市天カ須賀5丁目1番17-7号
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当事務所の公式SNSアカウントです。ビザ申請、飲食関連の最新ブログを投稿しています。

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