入管が解体業への立入調査を強化へ|外国人を雇用する事業者が注意すべきポイント

2026年9月、出入国在留管理庁が外国人の不法就労対策を強化するため、他省庁と連携した立入調査を実施する方針であることが報道されました。

報道によると、第一弾として2026年10月にも国土交通省と合同で、外国人が働く解体業者などへの立入調査を行う予定とされています。

これまで入管による不法就労の調査は、通報などをきっかけとして行われるケースが多くありました。

しかし今回の取組では、国土交通省や自治体などが行う事業者への立入調査に入管職員が同行し、現場で働いている外国人の在留状況などを確認することが想定されています。

外国人を雇用している解体業者や中古車・自動車部品の輸出業者にとっては、今後の動向に注意が必要です。

※参考資料:入管庁、「不法就労」摘発強化へ他省庁と合同で立ち入り調査…10月にも国交省と解体業者対象に実施へ「読売新聞」

目次

なぜ「解体業」が対象になるのか

今回、最初の調査対象として解体業が挙げられている背景には、建物の解体現場や、廃車などを解体・保管するいわゆる「ヤード」で、外国人の不法就労が行われているケースがあることが指摘されています。

実際、出入国在留管理庁が公表している摘発事例の中にも、不法残留者や技能実習先から失踪した外国人が解体作業に従事していたケースがあります。

また、自動車解体や中古車・自動車部品の輸出を行う会社では、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で外国人を雇用しているケースもあります。

そのため今回の動きは、単に在留期限を過ぎて働いている外国人だけの問題として考えない方がよいでしょう。

「技術・人文知識・国際業務」で解体作業をしているケースにも注意

中古車や自動車部品を海外へ輸出する会社では、海外顧客との取引、貿易事務、海外向け営業、通訳・翻訳などを担当する外国人を「技術・人文知識・国際業務」で雇用することがあります。

こうした業務に従事する外国人を雇用する場合、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で申請するケースが一般的です。

しかし、入管への申請では「貿易業務を担当する」として許可を受けているにもかかわらず、実際にはヤードで自動車を解体したり、部品を取り外したりする現場作業を中心に行っている場合は注意が必要です。

有効な在留カードを持っているからといって、その会社で行われるすべての仕事ができるわけではありません。

外国人が実際に行っている仕事が、その在留資格で認められた活動の範囲に入っているかどうかが重要です。

今回のように解体業者などへの立入調査が行われれば、こうした**「在留資格と実際の仕事内容の不一致」**についても注意する必要があります。

自動車解体では外国人を雇用できる在留資格がない

自動車解体業界でこうした問題が起きる背景には、現時点では、自動車の解体作業を行う外国人を雇用できる在留資格がないという事情があります。

外国人材を必要としていても、自動車の解体作業そのものを目的として外国人を受け入れる制度が整っていないのが現状です。

実際、日本自動車リサイクル機構(JAERA)など業界3団体は、自動車解体作業を育成就労制度の対象職種とするよう国へ要望書を提出しています。

一方、2026年1月には特定技能制度の新たな対象分野として「資源循環」が追加されることが決定しました。現在はまだ受入れ開始に向けた準備段階ですが、今後は一定の要件を満たす自動車解体業者についても、特定技能外国人を受け入れられるようになる予定です。

ただし、すべての自動車解体業者が対象になるわけではありません。

では、どのような自動車解体業者であれば対象になるのでしょうか。

この点については、環境省に直接確認した内容を別の記事で詳しく解説しています。

▶【内部リンク:育成就労・特定技能「資源循環分野」で自動車解体業は受入れ可能?環境省に確認した対象事業者の条件を解説】

今回の立入調査だけではない。不法就労対策は強化されている

今回の合同立入調査は、突然始まった単独の取組ではありません。

政府は現在、外国人の不法滞在・不法就労への対策を強化しています。

出入国在留管理庁は「不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~」を公表し、従来の取組に加えて「摘発の強化」を新たな施策として掲げています。

また、不法就労を行わせた事業者に対しては、入管法上の不法就労助長罪だけではなく、それぞれの事業を所管する行政機関とも連携して対応を強化していく方向性が示されています。

この点については、以前の記事でも詳しく取り上げています。

▶【内部リンク:不法就労は「刑事罰」から「許認可リスク」へ?――外国人雇用企業が知っておきたい二つのニュース】

外国人を不法に働かせた場合、

「入管法上の問題だけで終わる」

とは限らなくなっていく可能性があります。

外国人を雇用している事業者にとって、不法就労対策はこれまで以上に重要になっていくでしょう。

今回報道された解体業者への合同立入調査についても、こうした政府全体による不法滞在・不法就労対策強化の流れの中にあるものと考えられます。

外国人を雇用する解体業者は今のうちに確認を

今回の立入調査が実施されれば、解体業やヤードなどで働く外国人について、在留資格と実際の仕事内容を確認される機会が増える可能性があります。

特に自動車解体、中古車輸出、自動車部品輸出などを行い、「技術・人文知識・国際業務」の外国人を雇用している事業者は、一度現在の職務内容を確認しておいた方がよいでしょう。

入管へ申請した職務内容と現在行っている仕事が大きく変わっていないか。

貿易業務や海外営業として採用した外国人が、実際には解体などの現場作業を中心に行っていないか。

立入調査を受けてから問題に気付くのではなく、外国人の雇用状況を事前に確認しておくことが重要です。


なべ行政書士事務所
三重県四日市市天カ須賀5丁目1番17-7号
TEL : 080-6865-3422
営業時間: 9:00~18:00
定休日:日曜日
メールでのお問い合わせはこちら  
インボイス登録番号:T3810964268629

お気軽にご相談ください

当事務所の公式SNSアカウントです。ビザ申請、飲食関連の最新ブログを投稿しています。

なべ行政書士事務所
三重県四日市市天カ須賀5丁目1番17-7号
TEL : 080-6865-3422
営業時間: 9:00~18:00
定休日:日曜日
メールでのお問い合わせはこちら  
インボイス登録番号:T3810964268629

お気軽にご相談ください

当事務所の公式SNSアカウントです。ビザ申請、飲食関連の最新ブログを投稿しています。

目次