かつて“儲かるビジネス”だった監理団体は、育成就労制度への移行でどう変わっていくのか?

目次

技能実習制度から育成就労制度へ

2027年4月1日からスタート予定となっている「育成就労制度」。

私は、OTIT(外国人技能実習機構)のHP上で公開されている「育成就労制度運用要領」に関して詳しく目を通しているのですが、現在出ている情報を見る限り、外国人受入制度は今後さらに大きく変わっていく可能性があるのではないかと感じています。

そして、その中でも特に変化を迫られそうなのが、「監理団体」です。

参考文献:OTIT(外国人技能実習機構)育成就労制度運用要領

かつて技能実習制度は“閉じた世界”だった

かつて技能実習制度は、一般の人にはほとんど知られていない“閉じた世界”でした。

今のようにSNSもなく、外国人技能実習制度そのものを知らない人も多かった時代です。

当時は、監理団体の設立自体も、現在ほど厳格ではなかったと言われています。

また、少人数で大量の実習生を管理していたケースもあり、業界内では「儲かるビジネス」として一部の関係者では認識されていました。

実際、私自身も、かつて監理団体で働いていた知人から話を聞いたことがあります。

当時は、現在ほど監査や規制が厳しくなく、送り出し機関からの過剰な接待、監理団体へのキックバックなど、今よりグレーな利益構造が存在していたと言われていました。

社会問題化と監査の厳格化

しかし、その後、

技能実習生の失踪問題
長時間労働
人権問題
高額な借金問題

などが徐々に社会問題化していきます。

そして、外国人技能実習機構(OTIT)が設立され、監査や規制は年々厳格化されていきました。

かつては存在していた監理団体が、監査の厳格化によって解体されたという話も、今では珍しいものではありません。

実際に同級生が働いていた監理団体も、虚偽の監査報告提出が発覚し、その監理団体は解体されました。

育成就労制度で何が変わるのか

こうした状況の中でスタートするのが、育成就労制度です。

育成就労制度では、現在の監理団体に代わり、「監理支援機関」という新たな仕組みが設けられます。

また、現在許可を受けている監理団体であっても、そのまま自動的に移行できるわけではなく、新制度に対応した審査や許可を受ける必要があるとされています。

監理支援機関の許可基準を見て感じたこと

私自身、監理支援機関の許可基準に関する運用要領を読み進めていく中で感じたのは、育成就労制度では従来以上に「外国人材への支援」と「受入れ企業に対する監督」が重視されているということです。

もちろん、技能実習制度においても監理団体には監査や訪問指導などの役割が求められていました。

しかし育成就労制度では、外国人材の保護や転籍支援など、新たな役割も加わることから、監理支援機関に求められる業務負担はこれまで以上に大きくなる可能性があります。

かつては「実習生を受け入れて管理する」という側面が強かった監理団体ですが、今後はそれだけではなく、外国人材の就労環境やキャリア形成まで含めて支援していくことが求められるようになっていくのではないでしょうか。

私は運用要領を読みながら、育成就労制度は単なる制度変更ではなく、監理団体の役割そのものを変えていく制度なのではないかと感じました。

※なお、監理支援機関の具体的な許可基準については、別の記事で詳しく解説したいと思います。

“人を集める難しさ”という新たな問題

さらに、現在は外国人材そのものを集める難易度も、以前より上がっています。

特にベトナム人材については、以前から「集めにくくなっている」と言われています。

背景には、

・円安
・日本とアジア各国との賃金格差縮小
・他国との人材獲得競争

などがあります。

かつては「日本で働けば母国の何倍も稼げる」という時代でした。

しかし現在は、アジア各国の経済成長もあり、以前ほど圧倒的な賃金差があるわけではありません。

そのため、日本を選ぶメリット自体が、昔より弱くなってきている側面があります。

では、別の国から受け入れればいいのかと言えば、そこにも別の問題があります。

例えばミャンマーは、「人材の質が高い」と評価されることも多い一方で、政治・社会情勢が不安定です。
※ミャンマー人材の受入れがなぜ難しいかについては、こちらの記事「ミャンマー人材を雇用する際に知っておきたい制度と現状」を参照してください。

一方、近年急速に存在感を高めているのがインドネシアです。実際、特定技能制度においてもインドネシア人材の受入れは大きく増加しており、ベトナムに代わる有力な送り出し国として期待されています。

しかし、そのインドネシアも将来的に安定した人材供給国であり続けるとは限りません。

現在、インドネシア人材を巡っては日本だけでなく、韓国や台湾などとの間で激しい獲得競争が行われています。また、インドネシア国内でも経済成長が続いており、今後は日本との賃金格差がさらに縮小していく可能性があります。

実際、ベトナムでも経済成長と賃金上昇によって日本で働く魅力が相対的に低下し、人材確保が難しくなった経緯があります。インドネシアも将来的には同じような状況になる可能性は十分考えられるでしょう。

つまり、監理団体を取り巻く環境そのものが、昔とは大きく変わってきているのです。

今後、監理団体は淘汰されていくのか

そう考えると、今後の育成就労制度では、監理団体の淘汰や再編が進んでいく可能性もあるのではないでしょうか。

小規模な団体は、

・採算が合わない
・人員体制を維持できない
・新制度の基準を満たせない

といった問題に直面する可能性があります。

その結果、

・合併
・撤退
・大規模化
・外部専門家との連携

などが進み、本当に体制を整えられる団体だけが残っていくのかもしれません。

かつて“管理ビジネス”と言われた技能実習制度は、育成就労制度によって、「支援」「監督」を重視する制度へ変わろうとしているようにも見えます。

まだ制度の詳細は完全には固まっていません。

しかし、今後の外国人受入制度を考える上で、監理団体の変化は非常に大きなテーマになっていきそうです。


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