日本・カナダ・NZ・イタリアで働いて感じた、「厨房文化」の違い

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同じ厨房なのに、国によって働き方が全く違った

私はこれまで、日本だけでなく、ニュージーランド・カナダ・イタリア の飲食店でも働いてきました。

その中で、ずっと不思議に感じていたことがあります。

それは、同じ「厨房」という空間なのに、国によって働き方がまるで違ったことです。

特に印象的だったのが、ニュージーランド・カナダと、イタリア・日本の違いでした。

英語圏の厨房は「役割」で動く

ニュージーランドやカナダの厨房では、ポジションごとの責任分担が非常に明確でした。

例えば、

  • 洗い場担当
  • 前菜担当
  • メイン担当
  • 仕込み担当

など、それぞれが自分の持ち場に責任を持ちます。

発注管理も、自分の担当ポジションごとに行うことが多く、「自分のエリアは自分で管理する」という考え方が徹底されていました。

つまり、「自分が管理する仕事は、責任を持って完遂するが、自分の管理外の仕事には関与しない」という働き方です。

もちろん忙しい時に助け合いはありますが、基本的には「役割」「責任範囲」が明確に区切られていました。

イタリアと日本は「チーム」で動く

一方で、イタリアの厨房はかなり日本に近い感覚がありました。

ポジション自体は存在するのですが、状況によって横断的に動くのです。

例えば、

  • 洗い場が手が空けば仕込みを手伝う
  • 忙しいポジションに自然とヘルプが入る
  • 「今どこが詰まっているか」を見て全体で動く

といった感じです。

つまり、「自分の担当」よりも、「店全体を回すこと」が優先されるという感覚でした。

この点は、日本の飲食店ともかなり似ていると感じました。

高コンテクスト文化と低コンテクスト文化

この違いについて考えていく中で、非常にしっくりきた言葉があります。

それが、

  • 高コンテクスト文化
  • 低コンテクスト文化

という考え方です。

高コンテクスト文化とは?

「コンテクスト(context)」とは、簡単に言えば、「言葉の外側にある前提や空気感」のことです。

高コンテクスト文化では、すべてを言葉にしなくても、空気や状況から相手の意図を察することが前提になります。

例えば日本では、「ちょっと忙しいね」と言われただけで、

  • 手伝った方がいい
  • 急いだ方がいい
  • 今ピリついている

と自然に察して動くことがあります。

厨房でも、

  • 「今ここが詰まってる」
  • 「ヘルプが必要そう」
  • 「先にこれをやるべき」

といったことを、言われなくても空気で判断して動きます。

日本やイタリアの厨房は、この「高コンテクスト型」にかなり近いと感じました。

低コンテクスト文化とは?

一方で低コンテクスト文化では、言葉で明確に伝えることが重視されます。

つまり、

  • 誰が
  • 何を
  • どこまで
  • いつやるのか

を、はっきり共有する必要があります。

これは、多民族国家であるカナダやニュージーランドでは特に合理的です。

文化背景も言語感覚も違う人たちが集まる環境では、「察して動く」を前提にすると、むしろトラブルになりやすいからです。

そのため、

  • 職務分担
  • 責任範囲
  • システム化
  • マニュアル化

が発達しやすくなります。

つまり、「誰が来ても、一定品質で回る仕組み」を作る方向に進化していくのです。

食文化の違いも関係しているのかもしれない

さらに興味深いのが、食文化との関係です。

日本やイタリアは、昔から地域ごとの食文化や調理技術が深く根付いている国です。

料理が単なる「商品」ではなく、

  • 文化
  • 技術
  • 職人性
  • 感覚

として存在しています。

そのため、完全なマニュアル化が難しく、

  • 現場感覚
  • 空気
  • 呼吸
  • チーム連携

が重要になりやすいのかもしれません。

一方で、移民国家として発展してきたカナダやニュージーランドでは、多様な人材が働くことを前提に、「属人的ではなく、システムで回す」

という方向が強くなったのではないかと感じています。

厨房は、その国の文化が凝縮された空間なのかもしれない

以前の私は、「海外の厨房」と一括りに考えていました。

しかし実際に働いてみると、

  • 英語圏
  • 南欧
  • 日本

では、働き方の思想そのものが違っていました。

そしてその違いは、単なる仕事のやり方ではなく、

  • 文化
  • 歴史
  • 人間関係
  • 社会構造

の違いまで繋がっているように感じます。

厨房というのは、ただ料理を作る場所ではなく、その国の文化が非常に濃く現れる空間なのかもしれません。


なべ行政書士事務所
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