営業を続けると見えてくる「収束するレンジ」
営業というと、多くの人は、
- 気合
- 根性
- メンタル
- トーク力
の世界をイメージするかもしれません。
しかし、実際に営業を経験してみると、少し違った景色が見えてきます。
私は以前、補助金関連の営業をしていた時期がありました。
その時、テレアポ会社に依頼して営業活動を行っていたのですが、件数を重ねていくうちに、ある感覚に気づくようになりました。
それは、「営業には、ある程度“収束するレンジ”が存在する」ということです。
例えば、
- 100件架電すると、だいたい何件アポになるのか
- 何件商談すると、だいたい何件成約するのか
もちろん多少の上下はあります。
しかし、件数を重ねていくと、不思議なほど一定の範囲に収まっていくのです。
例えば、
- 今月は少し良い
- 今月は少し悪い
というブレはあっても、長期で見ると、だいたい似たような数字に落ち着いていく。
営業を経験したことがある人なら、この感覚に共感する人も多いかもしれません。
営業力で改善はできても、「100%」にはならない
もちろん、営業マン個人の能力によって数字は変わります。
優秀な営業マンであれば、
- アポ率
- 成約率
を改善することはできます。
しかし、どれだけ優秀でも、「100件営業して100件成約」という世界にはなりません。
なぜなら、営業というものは、自分だけで完結する世界ではないからです。
相手側には、
- タイミング
- 予算
- 社内事情
- 既存取引
- 優先順位
など、こちらではコントロールできない事情が存在します。
つまり営業とは、「絶対に勝つゲーム」ではなく、「長期的に期待値を改善していくゲーム」なのです。
“マフィアの会計士”マイヤー・ランスキーという存在
この感覚を考えていた時、私はある人物を思い出しました。
“マフィアの会計士”と呼ばれた、Meyer Lansky です。
もちろん、違法組織を肯定するつもりはありません。
しかし、彼の「物事の見方」には、現代の営業や事業運営にも通じる部分があるように感じます。
イカサマ賭博は、なぜ長続きしなかったのか
昔の違法ギャンブルは、イカサマによって客から金を巻き上げるような世界だったと言われています。
例えば、
- カード操作
- サイコロ細工
- 不正ディーラー
などです。
しかし、それでは長続きしません。
客は不信感を持ち、離れていきます。
つまり、「短期では勝てても、長期では市場そのものが壊れる」わけです。
そこでランスキーたちは、「イカサマで奪う」のではなく、「構造的に胴元が長期で勝つ仕組み」を重視したと言われています。
カジノは「大量試行時の期待値」で利益を出す
例えばルーレット。
一見すると、客と胴元が公平に見えます。
しかし実際には、ほんの少しだけ胴元側が有利になるよう設計されています。
例えばアメリカ式ルーレットには、
- 1〜36
- 0
- 00
が存在します。
つまり、全部で38マスあります。
しかし配当は「36倍基準」で作られている。
この“ほんの少しの差”が、長期では大きな利益になるのです。
例えば、
- 客側期待値:49%
- 胴元側期待値:51%
のような状態。
一回単位では客が勝つこともあります。
大勝ちする客もいる。
しかし、1万回、10万回とゲームを回していくと、統計的には胴元側が利益を残していく。
つまり彼らは、「一回一回の勝負」ではなく、「大量試行時の期待値」で世界を見ていたわけです。
「イカサマ営業」は、なぜ長続きしないのか
私はこの話を聞いた時、営業の世界とかなり似ていると感じました。
現実の営業でも、
- 強引なクロージング
- 不安を煽る営業
- 誇大表現
- 押し売り
によって、短期的には数字を作ることができます。
実際、一時的には売上も伸びるかもしれません。
しかし長期的には、
- クレーム
- 解約
- 紹介停止
- 悪評
- 信頼低下
につながっていきます。
つまり、「短期利益の最大化」をやりすぎると、市場そのものが壊れていくのです。
これは、昔のイカサマ賭博とかなり構造が似ています。
最初は儲かる。
しかし長期では客が離れ、最終的には市場自体が縮小していきます。
同じテレアポでも、「市場」が違えば期待値は変わる
ただ、営業の面白いところは、
「どんな商品でも同じ確率で売れる」
わけではない、という点です。
実は私は最初、特定技能外国人の人材紹介とその管理業務の営業をテレアポで行っていました。
しかし、これは全然アポが取れませんでした。
今思えば当然です。
特定技能分野は、
- 登録支援機関
- 人材会社
- 各種コンサル
など、非常に競争が激しい市場だったからです。
企業側も、既に営業電話を受け慣れている。
そのため、アポ率はかなり悪かった。
当時使っていたテレアポ会社も、成果報酬型でしたが、アポが取れないと分かると途中から連絡が来なくなりました。
おそらく、「この市場は期待値が合わない」と判断したのだと思います。
外国人市場に絞ったことで、期待値が変わった
そこで私は、営業先を変えました。
補助金営業でも、「外国人経営者」に絞って営業を行ったのです。
すると、アポ率が変わりました。
もちろん理由は単純ではありません。
しかし、
- 競争相手が少ない
- 相手側にニーズがある
- まだ市場が擦られていない
といった要素が重なり、期待値そのものが改善したのだと思います。
つまり営業とは、「どう売るか」だけではなく、「どこで戦うか」によっても大きく結果が変わるのです。
中古車業界への営業でも、同じことを感じた
最近、私は中古車販売店に対して、制度改正を切り口に営業を行っています。
すると、ある社長さんに、
「行政書士から営業電話を受けたのは初めてだよ」と言われました。
そこで改めて感じたのは、
行政書士業界では、
- テレアポ
- 飛び込み営業
- 直接営業
をやっている人が、驚くほど少ないということです。
つまり、普通の営業をしているだけでも目立つ。
しかも制度改正というテーマは、相手側にとっても実際に関係する話です。
だからこそ、特定技能外国人の営業の時とは違い、今回も補助金営業の時と近いレンジで比較的高いアポ率を維持できています。
営業もまた、「大量試行」で収束していく
実際、営業を続けていると、
- 100件かければ大体これぐらい
- 1000件かければ大体これぐらい
という「レンジ」が見えてきます。
もちろん完全一致ではありません。
しかし、長期ではある程度収束していく。
これは、カジノの「胴元優位の構造」と少し似ています。
もちろん、営業は合法的なビジネスであり、マフィアや違法賭博とは全く別物です。
ただ、
- 長期視点
- 大量試行
- 確率分布
- 期待値
- 構造優位
で世界を見る感覚には、共通点があるように思うのです。
営業には「数字に見えない複利」が存在する
そして営業には、もう一つ面白い特徴があります。
それは、「数字では測りにくい複利」が存在することです。
例えば、
- 一度相談した顧客からの再依頼
- 紹介
- 別案件への発展
- 人脈の広がり
こういったものは、最初から計算できるものではありません。
しかし、継続していると、少しずつ積み上がっていきます。
つまり営業とは、「短期で全勝を狙うゲーム」ではなく、「長期で期待値と信頼を積み上げていく行為」なのかもしれません。
営業は「根性論」ではなく、かなり数学的な世界なのかもしれない
営業というと、どうしても精神論で語られがちです。
しかし実際には、
- 確率
- 分布
- 試行回数
- 期待値
といった、かなり“数学的”な構造が存在しています。
だから私は最近、営業とは「根性論」というより、むしろかなり“数学的”な世界に近いのではないか、と感じています。
【なべ行政書士事務所】
三重県四日市市天カ須賀5丁目1番17-7号
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